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TOP TALK
KONDOU MASATO
コンサルティング事業本部 CTO
兼 DXU クリエイティブテクノロジスト
近藤 理人
社会的にも非常に大きな動きを伴ったコロナウイルスによって、企業は様々な経営難に直面したり、活動に大きな打撃を与えられたことは言うまでもありません。また、それにより我々一般生活者の日常生活までも、当たり前ではなくなってしまいました。
そして日本が抱える労働人口減少の危機、過去20年で最も低いGDP成長率、更には地震や災害、異常気象によるライフラインの停止危機や、2025年の崖と言われるインフラ老朽化の課題。一見するとこれからの未来への希望が見えない要因だらけです。
今回は、そのためにデジタルシフトやDXを積極的にやっていきましょうという話ではなく、このマイナス要因だらけの時代の中で、どう生き、どう働いて、何を目指し、何を残していくべきなのかのヒントになるお話ができればと考えます。特にこれから社会を目指す若い方々に向けてと、私自身の自戒の意味をこめて。
ここ最近メディアに取り上げられる記事では、世界のスタートアップやアメリカ・中国の輝かしい功績が目に付きがちですが、我々日本企業が実践してきた中には、世界に影響を与えた実績やノウハウもあるのです。その中には、我々の日常生活から切り離せなくなったGoogleの社内ルールになったものもあるほどです。
すでに有名なルールですが、かつてGoogleには20%ルールというものがあり、「従業員は業務時間の20%を本業以外に費やせる」というものでした。これにより「AdWords」「Docs」「Gmail」など、現在の主要サービスに繋がるアイデアが生まれ、実装されてきました。やがてこのルールはHPや3M、Yahoo!といった名だたる大企業にも導入されていきました。
これらの情報は、大手IT企業の導入事例記事だったり、メディア集客用のtipsとして話題にされています。が、実は日本企業の東レの研究開発部門でもまったく同じルールがあったのです。このルールにより、研究者達の自由な研究とチャレンジが生まれ、それにより炭素繊維の開発は進み、複合材料によって軽量化を維持し強度を増すことで航空機に採用されるにまで至りました。勿論このルールの要因だけではないにせよ、結果的に現在世界シェアNo.1を誇っています。
※この過程においては膨大な数の実験を繰り返すなどして研究期間は50年以上にもわたり、今でも適用されています。
東レは、1950年代から炭素繊維に目をつけ、最初は釣り竿に、そしてテニスラケットやゴルフシャフトに採用されるなど、事業を拡大していきました、航空機に採用される際には、当時のボーイング社に東レの研究ノウハウをすべて提供していたというのも驚きです。この時代の日本企業は自社ノウハウを公開することはリスクと捉える風潮だったのにも関わらずです。結果、原理原則を明らかにして開発相手に示すことで、信頼を勝ち取って開発を進められたとか。
さて、改めて日本の今に立ち返ってみましょう。様々な問題に対して試行錯誤する企業様から非常に多くのご相談が寄せられております。皆様からのご要望に共通して言える課題は「集客」と「新規事業開発」です。勿論その延長線には「売上」というKGIがある前提ではありますが。
そしてそれらに逆風をふかせる社会問題の数々。ここであえて「フロンティア」と謳ったのは、今の日本を取り囲む様々な負の要素をバネにして新たな領域を開拓するチャンスでもあるからです。たとえば、Web3.0と言われるブロックチェーン技術を活用するのも手法の一つでありますが、まずは自社の仕組み化からと私は考えます。
仕組みと言うと様々なSaaSサービスやプラットフォーム、基幹システムなどと捉えられますが、それらの仕組み化に取り組むことも戦略上必須になる時代かもしれません。あえて仕組みというのは、冒頭の東レのような社内ルールもそうですし、教育制度やリクルーティングなども企業ごとの特長を生かした粘り強く継続できるような仕組みを確立することなのかなと感じます。東レにおいておそらく50年以上も継続した粘り強さは、日本人ならではの特性と謙虚さがもたらした賜だと私は思います。
最後に仕組み化の導入において一つ大切なポイントの例をあげてみます。
私自身が、様々なWebサービスやシステムの開発、運用をした経験から感じ取ったある種の法則があります。それは、課題解決のために取り入れるツールやシステムを導入いただく際にも、そのための運用ルールの策定やオペレーション方法も、新規事業やマーケティング戦略も、成功に導くのに一番重要な要素は、それらを動かしていく「風土」があるか否かということです。
この考え方は、弊社のブランディングセミナーでも違った切り口で発信しておりますが、まさしく今後の企業活動のキーとなります。ではどんな風土が必要なのか。これを以下の3つに集約してみました。
弊社の事業方針は、数々の企業様が外部やサードパーティに頼らないで自走できることを一つのゴールとしています。そのために重要な風土は立ち上げた仕組みを引っ張っていくリーダーが生まれやすいかどうかです。そしてそのリーダーの周りには信頼関係が生まれやすいかどうか。人を動かすにも、物事を前に進めるにも、能動的に問題点を見つけて解決するスタンスにも信頼関係が必要不可欠です。また、多様な意見を受け入れる風土は、これからの時代において非常に重要で、価値観の違う人間同士、多角的な視点で物事を判別する目線が仕組みをそのままにせずにより良く「運用する」ために必要な要素でもあります。
この記事を見た方の中で、ご自身の働く環境の風土がどのようになっているか、3つの風土になっているか、ぜひ振り返ってみてください。
CEO/代表取締役 中許 将一
2008年 大手エンターテインメント事業会社から、「株式会社 YRK and(旧株式会社ヤラカス舘)」入社。伝統を温めながら新しき事業へ積極的に新事業推進、新カンパニー設立、海外進出など、社内外を含めた多くの変革に取り組み新しい領域に挑戦。2016年に代表取締役社長に就任。事業ピボットに即して、2018年に「株式会社YRK and」に社名を変更。現在「事業コンサルティングファーム」を事業ドメインとし、あらゆるソリューションを開発。リブランディング、SDGs導入、DX推進、D2C事業支援などのコンサルティングサービスから、オンライン展示会のITサービス「デジ展」なども開発し、ITサービス領域にも参入。2019年、グループ会社「株式会社BRING(旧株式会社アドパック)」代表取締役就任。遠隔接客サービス「バタラク」をローンチし、新領域の事業サポートも行います。
常務取締役 兼 東京支社長 深井 賢一
1989年4月 株式会社 YRK and入社。マーケティングプランナーとして、ヘルスケアメーカーのカテゴリーマネジメントやストアマーケティング、スーパー・ドラッグストアの売場開発などを得意とします。2001年 スーパー・ドラッグストアの店頭支援を行う「ストアマックス™」を立ち上げ。2004年 東京本部統括、2008年 執行役員東京支社長、2017年 YRK& TOKYO 代表 執行役員就任。TMOT プラットフォームカンパニー・UCIカンパニーなどを率い、現在、東阪事業戦略室にて活動中です。
上席執行役員 兼 CBO 戸田 成人
2008年株式会社 YRK and入社。広告会社にて大手飲科·食品メーカー、通信会社、アパレルメーカーなど、主にメーカーブランドのクリエイティブを担当。現在はYRK&コンサルティング事業統括本部 上席執行役員。ブランディングに特化したクリエイティブディレクターとして活動。2017年からスタートさせた「リブランドコンサルティング事業」を軸に、事業再生支援を行います。ブランドの磨き直しから、インナーブランディング、自社プラットフォームの活用や、ブランドグロースのBPO(ブランドの成長フェーズのアウトソーシング)導入までを一貫したプログラムに反映。組織コンサル領域までを行うCX支援や、ビジネスイノベーション支援も同時に行い、事業再生にコミットしたリブランディングを提供します。
執行役員 兼 大阪コンサルティング事業部長 上野 大輔
2003年 株式会社 YRK and入社。コンサルタント兼、ストラテジックプランナーとして活動。Re-BRANDコンサルティング事業など、様々な社内ベンチャー・自社サービスの立ち上げを牽引し、現在はリチャネル・コンサルティング事業も推進。コロナによって大きく変貌した市場に対し、Re-BRANDのメソッドを起点に、売り方・商流・顧客接点などこれまでのビジネスモデルのみに捉われず、各事業・ブランドの存在価値に適した新たな販売・D2Cモデルを導き出し成立までクライアント企業と伴走する、Re-Channelコンサルティングを提供しています。
YRK&TOKYO副代表 東京事業部長 ASHIst事業責任者 大西 文太
2009年YRK and入社。財務部・事業部を経て現職。経理・営業・マーケティング・チャネル戦略・ブランディング・事業設計・マネジメントを現場で学んできました。事業コンサルティング会社の一員として事業支援業務を行う傍ら、自身で社会課題解決型の事業設計~運営までを一貫して担いたいという夢をかなえるべく出張フットケアマッチングサービスASHIst(アシスト)を社内起業。独自の経験を活かして、事業設計~ブランディング~ブランドプロモーションまでを設計・実行しきることができます。特に、独自の文化を持つ企業・ブランドの価値を磨き、世の中に豊かな気付きを提供できる仕事をしたいと考えています。
アクティベーション事業部 事業統括責任者 杉浦 太一
1996年 株式会社 YRK and入社。事業部にてBtoB企業から、大手メーカーまで多岐に渡るクライアントを担当。以降、事業部課長に就任。2015年、BPOセンターの運営管理部門を「365事業部」として進化させ、企画・運営・開発・営業を統合した部門として新設。またメンテナンス/デリバリー拠点となる「八尾M.I.D.ベース」を事業統合した、アクティベーション事業統括責任者に就任。現在、データドリブンに対応する「A&D Dept.」を立ち上げるなど、さらなるサービス拡充を行っています。