SDGsはソーシャルプロダクツで動かせ! 企業の競争力は、SDGsで決まる!


ソーシャルプロダクツを通してSDGsに貢献

  • SDGsって、うちは非上場なので、やっても意味がない。
  • SDGsは取り組んでいるが、なかなか社員に浸透しない。
  • SDGsは国連で決めたことだと言われると、遠い気がする。
  • という話を、お聞きします。

    それは「SDGsのため」にやるからです。
    「うちの会社のため」に。つまり、私たちの会社を、これから50年100年先の子供の孫の世代まで残していくために、何をしなければいけないか、それを考えること、と位置付けてみてください。

    地球や世界から見るか、私たち自分の会社から見るか、の違いです。この視点の違い、大きな差になります。

    地球や世界からではなく私たち自分の会社からSDGsをとらえる

    ソーシャルプロダクツ開発を阻む4つの「ない」

    「SDGsを商売に活かすには、社会問題や環境問題の解決につながるソーシャルプロダクツを上市することです」と言うと、

  • ロットが合わない
  • コストが合わない
  • ノウハウがない
  • 価格が合わない
  • と「ない」「ない」「ない」「ない」で回答されます。さらには、儲けにつなげると批判(wash)されないか、という不安も口にされます。

    大丈夫。心配いりません。ソーシャルプロダクツを開発すれば、自社の商品・サービスが変わる、その結果顧客との関係が変わる、そして社内がよくなる、そうすれば当然業績もよくなります。つまり、うちの会社がよくなるのです。そして、今やらないと手遅れになります。

    今、ソーシャルプロダクツを開発したい理由①
    「生活者の変化は想像以上!!」

    「2017年博報堂生活者の社会意識調査」に、「社会や環境に、不誠実な企業の商品は買わない」と答えた生活者が66%います。2017年。まだ大企業の間でもSDGsという言葉も定着していない頃から、生活者はこう答えていました。

    
2017年博報堂生活者の社会意識調査

    では、「不誠実」とは何でしょうか?「誠実」とは何でしょうか? 

    私たちは「誠実さ」とは「透明性」だと考えています。一言で言えば、情報の開示です。「不誠実」とは、企業にすれば隠しているつもりがなくても、隠していると受け取られるリスクがあることを意味しています。

    一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会の2019年生活者調査によれば、「企業による社会的な取り組みは、企業本来の業務」、つまり本業のビジネスでサステナビリティに取り組んでほしいと考えている生活者が、男性45.3%、女性は56.2%います。

    また「企業による社会的な取り組みは、企業自ら積極的に情報発信してほしい」と考える生活者が女性は60.3%にのぼります。

    
APSPの生活者調査

    つまり、生活者は企業の社会的な取り組みは、黙っていないで企業自ら情報発信してほしいと考えているのです。

    今、ソーシャルプロダクツを開発したい理由②
    「コストは上がり続ける」

    自社の未来も不透明なのに、「SDGsどころではない」という話をお聞きすることがあります。先行きを不透明にしている要因の一つがコストだとしたら、社会問題や環境問題の解決無くして改善する見込みはありません。

    たとえば、人件費・燃料費・天然資源・異常気象・規制や認証などによるコストアップ、その原因は社会問題や環境問題によるものだからです。

    つまり、コストアップを価格に反映させないと、経営は行き詰まるのです。しかし、価格を上げると「値上げ商品」とメディアに取り上げられ、容量を減らすと「ステルス値上げ」と取り沙汰され、まるで悪者扱い。

    だから値上げを付加価値に変える必要があります。値上げと付加価値の違いは、購入者の理解と共感の有無です。

    ソーシャルプロダクツで付加価値をつけて購入者の共感を得る

    今、ソーシャルプロダクツを開発したい理由③
    「もう差別化はムリ」

    この背景にあるのは、「差別化」の限界です。ナショナルブランドであれば、「スペック(仕様)」「機能」「性能」「成分」「効果・効能」など。小売業であれば「安い(価格)」「近い(距離)」「便利(時間)」「大きい(面積)」など。

    これらは、他社商品・他店との差別化にはわかりやすい指標となりますが、消費者にとってみれば、それは数字の差であって、使用実感の差につながっていないこともあります。逆に言えば、数字の差が商品や店の差であれば、数字で顧客を取られる可能性があるということです。

    日本で買う商品やサービスに「悪品」は無い、むしろ日常使用するには十分な機能が備わっていると考えると、これからは数字による差別化を超える感情差の時代だと言えるわけです。感情差。すなわち、好き、めっちゃ好き、みんなに使ってと言いふらすくらい好き、という好きの度合いです。

    感情差には、「共感」「参加」「協力」「応援」、そして「感動」があります。この感情差でつかんだ顧客は、そう簡単には離れていきません。

    ソーシャルプロダクツで数字による差別化を超える感情差をつける

    今、ソーシャルプロダクツを開発したい理由④
    「ミカタナカマを増やす」

    そして、「めっちゃ好き」で集まった顧客は、もう顧客でもなく、ファンでもなく、「仲間」であり「味方」です。ミカタになってくれる仲間がいると、強いのです。私はミカタナカマと呼んでいます。

    それは数の力だけはありません。対話のチカラと言ってもいいかもしれません。SNSを中心にしたネット社会の今だからこそ、すぐに低コストでできることです。自社の顧客をミカタナカマにすることは、今後D2Cを仕掛ける時に、「礎」になるといっても過言ではありません。

    今まで商談に使っていた時間を、ミカタナカマとの対話の時間に変える、くらいのシフトが必要になるでしょう。早くやったもの勝ちです。なぜなら、試行錯誤を積み重ねた時間の勝負になるからです。

    ソーシャルプロダクツで「ミカタナカマ」を増やしネット社会を制する

    今、ソーシャルプロダクツを開発したい理由⑤
    「言わないより、不完全でも、早く言った者勝ち」

    企業や商品の誠実さとは、「透明性」だと前述しました。だから、どこから見ても非の打ちどころの無い完璧なソーシャルプロダクツを、時間をかけて開発するよりも、一部分のソーシャル性でも、「なぜ」「どのように」「だれが」「なにに」取り組んでいるのかを伝えるだけで、すぐに共感を得られます。

    キットカット大袋商品が、包装を紙に変えて話題になったのは2018年8月ですが、今でも紙の外袋を開けると、個包装はすべてプラスチックです。そのことを批判するメディアも無い上に、顧客は共感して、その共感をSNSで発信しているほどです。

    それは、なぜ個包装にプラスチックを使用しているか、明確に表示されているからです。そのことを、わざわざTwitterで代弁している顧客もいます。まさにミカタナカマです。

    また繊維商社豊島の「オーガビッツ」は10%のオーガニック繊維が人気です。「ちょっとくらいが、ちょうどいい」というメッセージで、ハードルの高い100%オーガニックのものを1人に使ってもらうよりも、10%オーガニックコットンのものを100人に使ってほしいと伝えています。

    完璧ではなくても、今できること、今やっていること、これまでやってきたことを、見せて伝えること。何を目指すのか、なにが課題なのか、不完全であることも伝えることが大事で、その「姿勢」に共感してくれます。課題は「伝え方」です。

    ソーシャルプロダクツ成功のカギは「伝え方」

    今、ソーシャルプロダクツを開発したい理由⑥
    「もうやっている、すでにあるのに知らないだけ」

    ソーシャルプロダクツを一から開発するのは、時間もかかるし、ノウハウもないし…冒頭の「4ない」ですが、どの会社にもソーシャルプロダクツはすでにあります。

    それがどこにあるのかを見つける方法が、自社のバリューチェーンを細かく見ていくことです。調達部門、研究開発部門、商品企画部門、生産製造部門、マーケティング宣伝部門、物流部門、営業販売部門…それぞれの部門で、きっと環境問題や社会問題の対策となる工夫が施されているはずです。

    それを他部門の社員が知らないだけなのです。経営者でもどの部門が何に取り組んでいるのか、詳しく知らないケースがあります。それをサプライチェーンまでさかのぼればなおさら。逆に、自社商品を顧客が使用後どうしているか、というサーキュラーチェーンとなれば、手付かずといってもいいと思います。

    社内の隅々を見渡し、取引会社が取り組んでいることを知れば、ソーシャルプロダクツとして必要なことをすでにやっているはずです。それを、生活者、顧客にどう伝えるかを考えれば、誠実な商品・サービスだと受け止められ、それが共感となりミカタナカマが増えていくのです。

    社内のバリューチェーンを見渡しソーシャルプロダクツを発掘

    さいごに

    加速するデジタルシフトとソーシャルシフト。

    今世界中で起こっていることを、冷静に見渡してみれば、デジタルシフトとソーシャルシフトによる大きなパラダイムシフトだということに気づかされます。デジタルシフトについては、すでにずいぶん語られています。その本質は「減省無」です。

    今まで必要だと思われていた「時間」「場」「プロセス」を、「減らす」「省く」「無くす」ということです。やり方によっては今までかかっていた時間とコスト、場が消滅します。

    一方ソーシャルシフトは、今まで見せる必要がなかったこと、やる必要がなかったことを、見せないと信用されない状態になったということです。

    例えば消毒の頻度や方法から、製造や流通の経路まで、きちんと知らせる必要が出てきたのです。密にならないように距離を取るソーシャルディスタンスも同じで、飲食店では席数を減らして営業しています。これらはすべて新たに発生するコストです。しかも丁寧にきちんとやればやるほどコストがかかるのです。

    デジタルシフトとソーシャルシフト、この2つのパラダイムシフトに対応できるかどうかが、大きな差になります。

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    一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会
事務局長
株式会社 YRK and
CMO / 取締役 兼 TOKYO代表
深井 賢一
    Writer

    一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会
    事務局長
    株式会社 YRK and
    CMO / 取締役 兼 TOKYO代表
    深井 賢一

    一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会 事務局長。1989年 株式会社 YRK and入社。マーケティングプランナーとして、食品・日用品・医薬品などのマーケティングやプロモーション、流通小売業の業態開発・売場開発に携わる。現在はソーシャルプロダクツの適正な市場普及や、SDGsの本業化・ブランディング・コミュニケーション活用を企業に導入するためコンサルタントとして活躍。