香水ブランド【LE LABO】が確固たる地位を確立した、たった一つの理由とは?

2023.10.23

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Index

  1. 新進気鋭の急成長ブランド“LE LABO”とは?
  2. LE LABOのブランドの核、それは“香り”への異常なまでのこだわり
  3. LE LABOの秀逸すぎる価値づくりと、マーケティング戦略
  4. 強いブランドは、価値と理想をずらさない徹底的な“こだわり”から始まる
  5. 最後に

新進気鋭の急成長ブランド“LE LABO”とは?

香水好きに確実にその名を馳せているブランド、“LE LABO”
ニューヨークで友人同士の2人がユニークで特別なものを作りたいという意思から誕生し、日本に世界二号店を出店してから、国内では代官山・渋谷・六本木・銀座と一等地に店舗を構え続けています。そんな今キテいる、香水ブランド“LE LABO”。一気に知名度を上げ、店舗はいつも行列ができ、街を歩けばどこかからLE LABOの香りがする。実際私も、いい匂いだなと思った友人に香水を聞くと「LE LABOの○○だよ」と言われたことが何回もあります。

どうやってそんなヒット状態を作り上げたのか?今回、LE LABOのブランディングを分析、自主考察していくと、他の香水にはない“ブランドの核”と“マーケティング戦略”が見受けられました。あくまでも筆者の独自視点考察ではありますが、ご覧いただければ幸いです。

LE LABOのブランドの核、それは“香り”への異常なまでのこだわり

LE LABOの店舗に行けば、そこはさながら“研究室”。店舗からあふれるいい香りは、通りすがりの知らない人まで店内に引きこむ程の魅力があります。
そしてその香りは原料、製法、つけるの3つの工程で厳しい基準とこだわりを持っているのです。
原料はとにかく質に吟味を重ね、特定の産地の原料を使うことや、手で摘まれた花のみなど、香りに対するこだわりゆえに原料も徹底的に厳しく追い求められています。
また、この研究室(店舗)ではLE LABOにしかない価値と顧客体験を提供してくれます。それが「メイド・トゥ・オーダー方式」と呼ばれるものです。

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「メイド・トゥ・オーダー方式」とは、オーダーを受けてから自然由来のフレッシュな香料をその場で調合し販売する方式。フレグランスの最終調合を手作業で行うフレッシュブレンディングは、研究室(店舗)のみで受けることが可能なサービスなのですが、この顧客体験設計には大きな理由があるようです。
それは、「元来香水は、人の体臭や体質によって香り方が大きく変わる」という非常にセンシティブなプロダクトであるというネガティブ要素を逆手に取り、独自の提供価値に昇華している点です。
自分の肌につけながら調合し、香りの専門家とユーザーが一緒になって作り上げることで完成する「香り」。まさに「究極の香水」とも言えるこのフレッシュブレンディングは、LE LABOのプロダクト自体の機能的価値を高めると同時に、ハイレベルな顧客体験価値を提供されており、そうして作られた、世界で一番新鮮な香水は、匂い、持続力、肌へのなじみ方が他のものとは圧倒的な違いがあります。

この違いは数値にも現れており、一般的に多く流通しているオーデコロンやオードトワレと呼ばれるタイプの賦香率(香料の割合)は5〜10%なのに対し、LE LABOの香水は30%程。桁違いな香りの持続性を可能にしたのです。それでいて、パルファムのような「強い香り」ではなく、優しく控えめに香ることから香害になるリスクが低いため、強い匂いが苦手な日本人にもフィットするブランドと言えると思います。
本当に質のいい原料で、調合したてのフレッシュな香りを、つけた瞬間から最後までずっと感じられる。この香りへのこだわりがLE LABOが提供している価値なのです。

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LE LABOの秀逸すぎる価値づくりと、マーケティング戦略

LE LABOは、“本当にいいもので作ったフレッシュな香水”であるという自分たちのブランドの核を伝えるためのマーケティング戦略も、非常に秀逸だと感じます。
ここでは、筆者の自主考察から3つのポイントで整理しました。

①理想を追いかける
設立と同年に発表されたロンドンのライフスタイル誌「Wallpaper」で香水部門のベストアワードに抜擢されるという、香水としての品質を真っ先に評価されたことに始まり、世界で2店舗目の出店は、「日本の代官山」を選ばれたのですが、その理由も明確なようです。日本人はアイドルやゲームを“育成”することでモノへの愛を深める傾向にあると感じた創設者たちは、最後に調香する「メイド・トゥ・オーダー方式」が日本人の考え方にマッチ度が高いと考えたのです。日本でのLE LABOの成功は言うまでもなく現在(2023.10)は15店舗にまで拡大しています。

②店舗を武器にする
LE LABOの店舗の内装はこれもまたこだわりぬかれた空間で演出されており、店舗に入ると店員さんがかなり密接な接客をしてくれるのです。気になる香水を言えば、ひとつずつ丁寧に、香りから厳選した原料まで説明してくれる。外には行列ができていますが、丁寧な接客とこだわりの内装を実際に体験した私は、これは並んででも入りたいし、このお店で買う価値があると実感しました。
また、世界各地に店舗をかまえていることを武器に、こだわりのクオリティを維持することを徹底しつつ、各国限定の香水が販売されています。並んでいる人の中には海外からの観光客も多数いますが、海外旅行に行く目的の一つとして、各国限定のLE LABOの香水を買うことが含まれているのです。

③唯一無二の香水に
さらに、HPを見てみると統一された世界観や、LE LABOの大切にしている、香りへのこだわりを感じることができます。設立の歴史から、香りの原材料までを詳細に記載する具体性を持ちながらも、説明文の最後にこんな1文を載せておられます。

“何よりも説明は芸術を台無しにすると考え、上に書いてあることはすべて忘れましょう"

この一文は「伝えたいこだわりはたくさんあるけれど、LE LABOの香水を一度嗅げば、そのこだわりが自然に感じられる自信であり、どう受け取るかはユーザーに任せる」という新たな価値を想像させる文だと感じました。
どんな商品も最後はユーザーがどう思うか、ユーザーそれぞれの価値観と商品が交わり、新たな解釈や価値が生まれて行く。それが積み重なることで長く愛されるヒット商品が誕生しているのだと思います。

強いブランドは、価値と理想をずらさない徹底的な“こだわり”から始まる

LE LABOの香水は製造までに多くの時間とお金をかけているようです。それは原料を選ぶ段階から、お客さんと接点を持つ店舗体験の瞬間まで徹底されています。こだわりの原料を選んでいることを、店舗にいる店員からお客さんに伝える、お客さんがさらに誰かに伝える、そんな情報の一貫性を保つ努力は並大抵のものではありません。
その苦しい時間を耐え抜けるのは、決して妥協しない調香士と、それを信じる会社の仲間がいるからなのだと思います。
その結果を私自身も感じています。それはいい香りのする友人に香水を聞きLE LABOだと教えてもらい、「LE LABOっていいの?」と何の気なしに聞いたその返事でした。「LE LABOは原料からこだわってるし、フレッシュだから匂いもちもいいよ。」店員さんからしか出てこないような情報量を顧客が理解し、さらに魅力を発信できる。これほどまでに広告として強力なものはありません。

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LE LABOの価値は「香りへのこだわり」であり、品質を担保できない場合はリリースはしないそうです。一般的にメーカーの商品発売時期はターゲットの購買属性や商戦期から逆算されていることが多いものです。
しかし、“いいものができないのなら発売するべきではない”そんなメッセージを感じさせるLE LABOのこだわりに、その末に手元に届けられる商品に心動かされる人も多いのです。そうして守られたこだわりのハードルは高く、その高さがユーザー側から見た安心感やブランド力に直結しています。

最後に

モノが世の中にたくさんあふれている時代に、皆さんはどんなモノだったらお気に入りだと胸を張って言えるでしょうか?自分の愛用品として恥ずかしくないものは何でしょうか?作っている人が、こだわりと自信を持っているモノは、使う人にも自信を与えます。それは作った人の愛情が感じられる、大切に作られたものであるから。
これがもし、愛を持って作ったこだわりのものでも、使う人に愛が届いていなければそのこだわりはどこに行ってしまうのでしょうか?(作った人から見たら伝わっていない、顧客が見たらどこが他と違うのかわからない、宙ぶらりんに…)

作っている人のこだわりや想い、情熱を取りこぼしなく、まっすぐに伝える必要があり、伝わった先で顧客はその商品に愛着=こだわりを持つのです。
これは恐らく、「マーケットイン」発想による客観性を持った開発思考では生まれないロジックです。創業者が高い熱量を持ち、「プロダクトアウト」発想で立ち上げたビジネス・商品は、唯一無二のものとなり、愛されるファンからの熱量も高くなるのです。

もし、自社のブランドをもう一度磨こう、新しく創ろうとしているのであれば、“この商品の価値は何だろう?、こだわりは何だろう?”これをまずは考えることが大切です。そのあとに“こだわりをまっすぐに届けるには?”の手法を考えること、これがブランディングの本質です。
しかし、この作業は簡単で楽なものではありません。ブランディングは長く、先の見えない道のように感じられるかもしれません。それでも、こだわりを伝える為に走る、先の見えない道の沿道ではたくさんのユーザーがすぐそばで必ず見ています。

プロダクト開発やマーケティング戦略などのブランドが行う全てのアクションは、必ず誰かが見ていています。だからこそ商品の価値を間違うことなく設定し、一度抽出した価値をぶらさずに確実にまっすぐ届けることこそ、顧客との信頼を生み出し、愛されるブランドへの一歩が始まるのです。

writer
荒木 舞美