ブランディングとCRM_連携に必要な4つの視点(リブランディングならYRK&)



昨今、さまざまな企業で取り組みが進む“ブランディング”、そして“CRM(顧客関係管理)”。
「まさに今真っ最中」「これから取り組む・検討中だ」といった企業様も多いのではないでしょうか?事実、リブランドコンサルティングを強みとする当社ですが、“CRM(顧客関係管理)”に関するご相談も年々増え、BtoC・BtoB、企業規模問わず、多くのご支援に携わらせていただいています。
その中の多くで、「ブランディング=マーケティング部門の仕事」「CRM=システム部門の仕事」など、業務領域やチームが分断されているケースが多いように見受けられます。

私個人として、非常にもったいないと感じてしまう場面が多く、“分断を理由に、担当間の連携がほぼなされていない”といった状況が多々存在します。
連携する必要性とは?そして、連携を進めるためのポイントをお伝えできればと思います。

Index

  1. ブランディングは“企業としての在り方の文脈”を、CRMは“顧客との関わりの文脈”を可視化する。
  2. 連携で最も大切なコトはチーム間で理解者を増やすこと。
  3. 施策連携におけるキーパーソンの役割とは?そして、これからCRMを導入するという企業様へ
  4. まとめ

ブランディングは“企業としての在り方の文脈”を、
CRMは“顧客との関わりの文脈”を可視化する。

CRMの機能は「顧客との関係性をデータ化」し、営業・マーケティング・カスタマーサポートなどの「事業活動をデータ活用で効率化・最適化する」ことです。企業活動の上で、時間軸と経営・事業軸で見た場合にどのように関わるでしょうか?
弊社ではブランディングとマーケティングの関係を下図のようにお話させていただくことがありますが、CRMとしての役割をプロットすると、中長期の事業領域に影響するものと考えています。

CRMの領域(#ブランディングとCRM。連携に必要な4つの視点)

次に、ブランディング施策とCRM(顧客関係管理)施策はどのように連携するといいでしょうか?
一例をピックアップしました。

“ブランディング”施策の一例

――顧客から選ばれ愛される存在になるため、自社のMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を策定し、“あるべき姿”の視覚化や、ブランドステートメント、ロゴ等を一新。
社外と社内それぞれにブランド浸透施策を講じ、コミュニケーション戦略も構築した。
今期からビジョンを反映した新製品を展開する。営業用ツールも作り、バッチリだ。

“CRM(顧客関係管理)”施策の一例

――顧客情報のデータ化を進めるため、自社のコンディションに合うツールを選定の上、初期設定、公式サイトとECサイトへの導入、フォームの入れ替えも完了した。メルマガ配信機能(MA)も導入し、見込み顧客向け機能の充実を図った。これからはカスタマーサポートなど既存顧客向けに何をしていこうか検討中だ。

それぞれ、目的や展開を計画した内容です。
ここに、各施策の連携を考えた場合の取り組み例を幾つか挙げてみます。

・顧客ごとにWeb上で「MVV」「新製品」「営業ツール閲覧」の閲覧状況を計測

・見込み顧客/既存顧客に向けて、未閲覧のコンテンツの案内を自動メール設定

・ブランドコンテンツをすべて見た興味の高い顧客へセミナーや商談を案内

・新製品のブランドターゲットとなる層にアンケートメールを配信し反響をチェック

ブランドコンテンツ認知度と購買率の関係性を見ながら次期施策に展開

上記は顧客のブランドへ関わるポイントを定義し、“CRM”で理解度を可視化した例です。
“ブランディング”で企業やサービスの在り方の文脈を整え、“CRM”で顧客との関わりの文脈を計測・評価する。
ひいては「効果はどこに出たか?」「どこをテコ入れするとよいか」など、“成長が見えるブランディング施策”の実現につながります。

手当たり次第に設定すればいいわけではありませんが、適切な設計を行うことで、顧客満足度調査やネットプロモータースコア(NPS)でわかる情報以上に、日々の営業活動やマーケティング施策で利活用しやすいデータの収集が可能になるのです。

連携で最も大切なコトはチーム間で理解者を増やすこと。

部門や担当が分かれている中で、それぞれの施策を連携する方法。ここばかりは、一朝一夕で実現することはかなわず、地道な理解浸透活動が必要です。

CRMの捉え方の違い図説(ブランディングとCRM。連携に必要な4つの視点)

“機能”と“できること”の正しい認識があれば、アイデアが出そうなものですが、「目的」「機能」「評価方法」「これまでの施策」などの経緯を知らなければ、発想は途端に乏しいものになってしまいます。

まずは各々の部署間において、お互いを知り、意見交換する場を定期的につくること。そしてメンバーの参加意義を醸成すること。“部門を横断したプロジェクトメンバー”として、日々活用と評価の方法を考え、共有を怠らないことが第一歩と考えています。
組織の中では、部門を横断した会議体の発足に、物理的にも心理的にも障壁があるとおもいますが、弊社では少なくとも3ヶ月に1度の実行施策と今後の施策の共有会の実施をおすすめさせていただくケースが多いです。

施策連携におけるキーパーソンの役割とは?
そして、これからCRMを導入するという企業様へ

施策連携のキーパーソンとなるのは、各施策のプロジェクトリーダーと決裁権を持つマネージャーなどの立場の方です。今回のテーマとしては下記のような事が求められるかと思います。

1.部署部門を横断してコミュニケーションがとれる、とるための場がつくれる。
2.着手する内容と順序を決められる。説明できる。スピーディに着手ができる
3.実現した内容を分かりやすい・見やすい状態で共有できる

とはいえ、全てを理想通りにできないのは世の常。メンバーの方々と作業分担をしたり、我々のような支援会社がファシリテーションや意見抽出・課題整理・可視化を担当させていただく場合も多くございます。

また、“CRMをこれから導入する”となると、一般的には将来のシステムの設計を、費用と時間をかけてコンサルタントと全体最適で進めるケースが多いですが、投資規模も大きくなり、そこまで舵を切れない場合もあるかと思います。

そのような場合は、Webサイトリニューアルや営業DXといった目下の課題解決に取り組みながらCRMの要素をとりいれていくパターンもおすすめさせていただいております。

例として、以下のようなプロジェクト進行は無理のない進め方になります。
①ブランド価値訴求のコンテンツ制作などをとりいれながら、Webサイトをリニューアル。
②並行して相性のいいパッケージのMA/CRMの検討・導入を進める。
③リニューアル後に見込み顧客へのアプローチを試行しながら、営業との連携を考えていく。
④機能がそぐわない場合は場合に応じてツールを入れ替える。

部分最適からのスモールスタートではありますが、少しずつ成果を出しながら、社内でのチームを拡大されているクライアント様も多くいらっしゃいます。
もちろん、1〜3年レベルでの将来像をイメージしていく工程は必要になりますが、アジャイル思考でのプロジェクト推進も可能です。

まとめ

CRMとブランディングの施策を連携していく上でのポイントを下記のようにまとめさせていただきます。

POINT 1

ブランディングとCRMは、
連携することでブランド理解度を指標化するなどの
相乗効果を発揮する

ポイント1_指標化(ブランディングとCRM。連携に必要な4つの視点)

POINT 2

アイデアが出る土壌づくりが重要。
部門やチームを横断して目的・機能を共有する場をつくる

ポイント2_アイデアを生む組織図(ブランディングとCRM。連携に必要な4つの視点)

POINT 3

キーパーソンとなる方と、
メンバーの役割を明確に定義する

ポイント3_キーパーソン(ブランディングとCRM。連携に必要な4つの視点)

POINT 4

大きな全体像がなくても、
スモールスタートでも始める・進めるコトが重要

ポイント4_スモールスタートの方法(ブランディングとCRM。連携に必要な4つの視点)

CRMというITツールを用いた、顧客体験向上の手法論は沢山ありますが、“自社のブランドを顧客がどう理解してくれているかを把握する”には各企業で研究が必要な事には変わりありません。
なにより大事なのは“今、目の前のできることから始めていく”ことと、“仲間を増やすこと”。

進めていく中で、もし次は何を...?と迷われた場合はぜひお気軽にお話をきかせていただければと思います。


株式会社YRK and
クリエイティブテクノロジスト
中野 シンヤ
Writer

株式会社YRK and
クリエイティブテクノロジスト
中野 シンヤ

2019年 株式会社 YRK and入社。Web制作会社でのディレクター/プロデューサー経験を活かし、クライアント事業と実業務を鑑みた“自社にハマる”Webプランニングを行う。CRMやMAなどのツールと連携した仕組みづくりと、解析ツールを用いたデータ活用を得意領域に課題解決に従事。また、デジ展のプロジェクトでは、各種API連携やインフラ設計、リスクマネジメントや機能拡張の主担当としてサービス開発にも取り組む。