スターバックス×リッツカールトン流 企業理念と一貫した「顧客体験」を生む組織のつくり方

2025.03.07

スターバックス×リッツカールトン企業理念と一貫した顧客体験を生む組織の作り方

スターバックス×リッツカールトン企業理念と一貫した顧客体験を生む組織の作り方


2025年1月30日に大阪で開催した、人材戦略とブランディングの成長について議論を深めたYRK&主催のビジネスイベント「Brand Growth Meeting」。

Brand-Growth-Meeting_TOPバナー1212最新

チャプター3では、スターバックスやサボンを手掛けてきた経歴を持つ、ノスプロダクター株式会社 代表取締役副社長の黒石和宏氏とリッツ・カールトン ファイブスターを受賞するなどの経歴を持つ人事講師・コンサルタントの辻村香奈氏により、企業理念を「単なる言葉」ではなく「顧客体験」としていかに実践するかというテーマにて、理念の浸透と組織マネジメント、採用基準、社員のモチベーションと業績の関係など、多角的な視点から企業成長の要点を掘り下げて語っていただきました。本記事ではそのエッセンスをお届けします。

組織マネジメントに
重要なのは、
自発的な行動を生む「環境づくり」

「人材育成」ではなく
「環境づくり」と「“失敗から学ぶ”ためのトレーニング」

BGM黒石氏

人を創るのではなく、
「環境をつくること」が最も重要。

人材育成において、「人を創る」なんておこがましい。
人を変えようとするのではなく、制度設計や人材育成プログラムといった「人が成長したくなる環境を整える」ことで、自然と人材が育つんです。

リッツ・カールトンのMVV浸透は、
毎日の成功・失敗事例の共有から。

リッツ・カールトンの社員は、世界中から集まる成功・失敗事例のデータベースを元に、自分なりのベストプラクティスを導き出すトレーニングを毎日実施することでMVVの価値観を共有・体現化させています。

採用で重視する基準
「カルチャーフィット」

「スキル」ではなく
「カルチャーフィット」を重視する理由

BGM黒石氏3

スターバックスでは
シンボルの「グリーンエプロン」を通じて社員のアイデンティティを形成

多様な個性が存在する世界で、みんなが一つのスターバックスという傘のもとで働く時に、シンボルである「グリーンエプロン」を身につけた時の魂・精神はどうあるべきか?と、毎日、常に意識してもらうことに注力してました。
また、社員もアルバイトも全員「パートナー」と呼んでいます。これは、全員がミッション実現に向けた自発的な行動ができるように、あえて役職や立場で区別しないようにしているんです。

※「グリーンエプロン」とは、世界80か国以上のマーケットで、40万人以上のバリスタが誇りをもって身につけるエプロンであり、お客様への歓迎の気持ちと、コーヒーに関する専門的なスキルを表しています。

リッツ・カールトンには、
血が青くなる(会社の理念に染まる)」という表現がある

リッツ・カールトンには、
「メモラブル・ブルー」というカンパニーカラーが存在しており、会社の理念に染まることを「血が青くなる」と表現している程、従業員一人ひとりの価値観や特性と企業文化のマッチング度合いを重視しています。
採用時には、理念や価値観への適合性を厳しく判断するための質問項目も設計しているほどです。
どれほどスキルが高くても、価値観が合わないという方は採用をお見送りさせていただいています。

組織文化を構築する
マニュアルと人事評価

「マニュアル」と「人事評価」のあるべき姿とは

BGM3_レポート_BGM黒石氏・辻村氏

マニュアルは最低限の基盤として必要
細かく決めすぎるのはよくない

例えば、マニュアルの中で「挨拶」を規定するとなった場合「おはようございますと言いましょう」ではなく「挨拶をしよう」という指針を示すべきだと思います。
「挨拶をしよう」だったら、「Hello」「おはよう」「こんにちは」など、それぞれが自分の価値観で最適な言葉を選んで自発的に挨拶(行動)ができるようになるんですよね。

こんな風に、これからの時代は、マニュアルの細かな規定を設定するよりも、ロケーションや状況に合わせて臨機応変に自発的な行動ができるような環境づくりが重要です。
このような環境づくりが、最終的にブランドの顧客体験価値を高めることに繋がっていくんだと思います。

リッツ・カールトンには、
自発的に最適解を導き出せる仕組みと
フィードバックシステムがある

ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)への理解が大事とされているリッツ・カールトンでは、毎日15分の「クオリティラインナップ」ミーティングで、MVVの価値観を共有しています。また社員が自発的に最適解を導き出せる仕組みや社員を成長させるためのフィードバックシステムが確立されています。

価値を自発的に生み出す
組織になる秘訣

秘訣1:人と組織の成長には、
環境整備・採用基準の明確化・自由度のあるマネジメントが鍵となる

経営は人を育てようと必死になるが、重要なのは「人を育てる」ことではなく「社員が自発的に成長を求めて育っていく環境づくり」である。
そのためには、採用基準の明確化、社員が自発的に行動しやすいような自由度の高いルールづくりが重要となる。

秘訣2:カルチャーを大切にしつつ、
新しい時代の変化にも適応する柔軟性が重要である

変わりゆく時代の中で、守るべきカルチャーや精神はあるが、未来に繋げていくためには、若手社員の意見を吸い上げるための仕組みやエンターテインメント性も重要となる。

秘訣3:MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透が、
組織の一貫性を保つために重要である

採用のタイミングからミッション・ビジョン・バリューに対する共感があるか?を厳しく判断する。そして組織の一員となってからも、ミッション・ビジョン・バリューに触れる機会を多く設けるなど対策をとり、日々の業務にも落とし込みながら実践できるような環境づくりを行う。

「人材戦略」
「企業文化の醸成」の
ヒントを
インストール
できた一日。

本イベントを通して参加者たちは、人材戦略・企業文化の醸成になくてはならないヒントをインストールできたはずです。大阪・関西万博が開催される今年、関西をより一層盛り上げていくためのきっかけとなるイベントとなりました。

ブランドグロースミーティング_会場イメージ

BGM黒石氏2

Speaker

ノスプロダクター株式会社
代表取締役副社長

黒石 和宏

米国オハイオ州マウントユニオン大卒。1996年にオープンした“Starbucks Coffee”の日本1号店にアルバイトとして入社。以降、店舗運営・改革に携わるようになり、12年間の在籍中に800店舗、従業員2万人を超える組織へ。構造改革担当リーダーを歴任し、同社を退社。同年、ノスプロダクター株式会社を設立。2006年には夢の第一歩となる(汁)ハレノヒを中目黒に出店。コラーゲンたっぷりの「ビューティ鍋」で人気を集め、なかなか予約のとれない店としてテレビや雑誌で話題になり事業拡大。2007年には、イスラエル発のバスコスメブランド“SABON”の販売ライセンスを2年間の交渉の末に獲得。日本法人を立ち上げ、アジア1号店、2号店、3号店をそれぞれ表参道、六本木ヒルズ、自由が丘にオープン。2018年には44店舗まで事業拡大。現在、ノスプロダクター株式会社にて、日本伝統芸能を軸とした新しいエンターテインメントコンテンツの開発やマネジメント、また、“Starbucks”“SABON”で培った実践的ノウハウをベースに、マーケティング支援事業を行う。最近では、大阪観光局アドバイザーも兼任。大阪から世界を元気にをテーマにZ世代を応援するプロジェクトにも参画。

Speaker

人事講師・コンサルタント

辻村 香奈

新卒でホテルオークラに勤務後、PanPacificHotels&Resortsパラオ・フィリピンのリブランドに参画。その後ザ・リッツ・カールトンでは年100件以上の新規婚礼成約を5年間継続。ザ・リッツ・カールトン大阪年間最優秀ファイブスター社員を受賞。また顧客との感動体験WOWストーリーがアジアパシフィック地区にてノミネートされる。ザ・リッツ・カールトン京都にて新規開業にアシスタントマネージャーとして寄与。その後講師業を経て独立。ホテル・ウェディングなどラグジュアリーレイヤーBtoC業種を中心にホスピタリティ研修をはじめ、フィロソフィー構築支援とその実現に向けた社員育成を行う。瞬時に心を掴む信頼構築とニーズの探求、感動価値創造に定評がある。

youtubeメルマガ登録で動画がフル視聴できます!

関連資料


関連ソリューション

  • リブランドコンサルティング
  • 社内ブランディング