ブランディングに必要な外的な圧力とは。

2022.06.06

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Index

  1. 未経験の力
  2. 多くのブランドが、複雑な商流の上に建っている
  3. 常識を越える難しさ
  4. 横断するにはPMOしかない

戦略を立てる時に、とても重宝されているマーケティングのフレームワークや、過去の成功事例。これをセオリーにはめ込むことで成功確率を上げるような、再現性のあるマーケティングが、だんだんと通用しにくくなってきました。私もマーケティングの業界に長く身を置いていますが、突然のコロナショックや、海外からのディスラプター(UBERやAirbnbのような、既存のビジネスモデルを破壊する企業)の上陸、また災害や戦争など、あってはならない予測不可能な事態が、連続して起こってしまったのがまさにこの数年。これまでのマーケティングセオリーだけでは、明らかに機能しにくくなっていることを実感しています。

そこでよくクライアントから出てくるのが「イノベーション」や「リブランディング」という言葉。どちらも、そもそもの価値を見直し、改めてビジネスを考え、再起動させようというものです。ここに、求められているのは、今までの延長線上での成長ではなく、「非連続的な成長戦略」の起案。それらを導き出すためには、色々な出来事の「客観視点での棚卸し」や、企業のもつそもそもの「事業の価値」を見直しなど、「前例主義から抜け出した推進力」を持つ必要があります。今回のコラムでは、ビジネスを再起動させるために必要な「外的な圧力」について考察したいと思います。

未経験の力

我々は、クライアント様の取り組まれている事業そのものにおいては、実は素人です。クライアント様とは違う、ブランディングやマーケティングに特化した業界の集団ですから、当然と言えば当然かもしれません。業界のことは、データや知識としてはよく知っていても、クライアント様の社内で積み重ねられている複雑な事情や、周辺環境、裏側のビジネスの仕組みについては知らないことも多く、社内では「当たり前」とされている常識は、私たちにはありません。しかし、いい意味で言えば、しがらみのないブランディングの正論をお話しできる立場です。イノベーションを起こすという目的においては、実はこの「未経験の力」が、新しい世界へのオープナーになります。

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多くのブランドが、複雑な商流の上に建っている

前述にも述べたように、高度経済成長期に構築された日本の商品やサービスは、どうしても「複雑な事情」の上に建っていることが多く見受けられます。例えば、流通や問屋とのしがらみ、広告代理店やテレビ局との日常的な関係、開発や研究においても前年対比をベースとした予算計画が主となり、どうしてもひとまずの売上に寄与するための思考になります。

次なるアプローチは、それを前提に構築せざるをえません。これも生活者の視点が欠け落ちてしまう「複雑な事情」の一つです。また、大きな組織になるほど、社内のマーケティングやブランディングの各部署の理解度によっても、大きく影響が出てきてしまいます。

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常識を越える難しさ

よって「未経験の力」を活かしたご提案や取り組みは、たいていの場合受け入れられません。なぜなら、「短期的な回収がイメージしにくいこと」と、前述のような「複雑な事情やしがらみの上に建っているため導入後のイメージがしにくいこと」になってしまうからです。本当にこんなことができるのか?もっと短期間でできないのか?おおよそこの辺りが議論に上がります。

しかし、それを乗り越え、生活者を起点に、今までの慣習や常識をいい意味で壊していくような動きがなければ、やはり今後のブランドの生き残りは難しくなってきています。私たちのお客様でも、このコロナで、改めて自社事業の常識を疑い、新しい船出をしたことで、過去最高益を記録されている企業もあります。まさに、コロナをチャンスに変えた素晴らしい成功事例です。

このように「未経験の力」を社内に取り入れていくことが重要になります。

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横断するには、PMOしかない

そして、私たちが、この「未経験の力」を発揮できるのは、受発注の関係ではなく、伴走パートナーとしてご一緒できているケースが多いのが事実です。内部の色々な部門を巻き込まず、単一部門へのプレゼンテーションだけでは、荒技になってしまうケースもあり、プロジェクトが立ち消えるケースもしばしばあります。部署や部門を横断的に超えたプロジェクトでなければ、これらのプロジェクトは、必ず部分最適の判断で止まってしまいます。

つまり、「どこかに属する部署が、その他の部署を束ねる」ということ自体が、非常に難易度の高いことなのです。それが可能なのは、経営陣が舵を取り、外部と共に進めるか、社長自らが指揮棒を振るか、の2択だと私は思っています。

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当社のような、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の機能をご活用いただき、いろいろな部署を巻き込んだプロジェクトを発足してみるのは、方法として必ず一つあります。コロナもPMOとは違いますが、「外的な圧力」であることは共通しています。それをチャンスに業績を伸ばす企業と、そうでない企業には大きな差も出てきました。イノベーションを求める際、全てを企業内で完結させようとせず、我々のような「未経験の力」をうまくご活用いただき、自社事業の本質的なリブランディングに挑戦してみてはいかがでしょうか?外的な圧力が、御社の常識を突破できるかもしれません。


コンサルタントコラム_戸田成人(リブランドならYRK&)


株式会社YRK and
取締役 兼CBO
Branding Strategist
戸田 成人
Writer

株式会社YRK and
取締役 兼CBO
Branding Strategist
戸田 成人

2008年株式会社 YRK and(旧 株式会社ヤラカス舘)に入社。広告会社にて飲料、食品、通信、家電、アパレル、施設事業など、さまざまなメーカーや小売業種のマーケティング戦略と、クリエイティブ開発を担当した後、現在はYRK&にて事業コンサルティング責任者に従事。リブランディングに特化したブランディングストラテジストを担当。組織力を強化するインナーブランディングからアプローチし、企業におけるブランド強化を、外と内の両面から支援します。また新規事業立案などのイノベーション創出支援や教育支援。劣化した商品やサービスのリブランディング支援も行い、現場のオペレーション支援(BPR / BPO支援)までを一貫して実戦できることを強みとしています。2022年からはブランドマネージャー養成講座などのビジネススクールも運営。リブランディングのプロ人材育成のため、登壇、セミナー、コラム執筆などのあらゆる支援活動も行っています。