2025年5月、YRK&のクリエイティブディレクター山下が、同志社大学 商学部 髙橋広行研究室にてブランディング講義を行いました。
テーマは「熱量のブランディング論」。
ブランドの構築・再構築に携わってきた自身の経験をもとに、ブランドを生み育てる上で大切にしている視点や考え方について、学生の皆さんに向けてお話ししました。
髙橋広行研究室(通称、髙橋ゼミ)とは、マーケティングやブランド戦略を中心に、企業や社会に新たな価値を生み出すための理論と実践を探究する研究室です。
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今回は、その実践性を高める一環として、山下の登壇が実現しました。
「想い」と「共感」から始まるブランドづくり
講義の冒頭で山下は、「ブランドは、戦略やビジュアルではなく、人の“想い”から生まれる」と語りました。ロゴや広告などの“見える形”だけでなく、そこに込められた感情や信念こそが、ブランドの原動力となります。
さらに、ブランドが「人の心に根づく存在」となるためには、その想いを一方的に届けるのではなく、生活者やチームとのあいだに“共感の接点”を生み出すことが大切だという考えも共有しました。
プロジェクトに「熱量」を宿す3つのメソッド
講義の中盤では、プロジェクトに“熱量”を宿し、関係者全員の心を動かすための3つの実践メソッドが紹介されました。
・Session(セッション):
対話を通じてアイデアを共有し、プロジェクトを「みんなのもの」に。関係者が楽しみながらアイデアを出し合える場づくりの大切さが語られました。
・Visible(ビジブル):
想いや違和感を「見える化」し、健全な対話の土台をつくる。ホワイトボードや共有ツールを活用し、意識のズレに気づける仕掛けが紹介されました。
・Visioning(ビジョニング):
“妄想力”を持ち寄り、プロジェクトの未来をみんなで描く。理屈よりも「ワクワク」から始まる構想が、関わる人の熱量を高めていく原動力になると語られました。
この3つのプロセスを通じて、プロジェクトが単なる業務ではなく、「自分ごと」として動き出すのだと山下は伝えました。
機能に“人格”を与える
ファンクショナルブランディング
後半では、「ファンクショナルブランディング」の概念についても紹介されました。
商品や技術の“便利さ”を伝えるのではなく、その価値が人々の暮らしをどう変えるのかを物語として描き、その機能に“人格”を与えるという考え方です。
ブランドとは単なる機能やスペックの集まりではなく、「どう語られ、どう愛されるか」で価値が決まる。このような視点が、プロダクト開発や企画に新しい切り口をもたらしました。
学生との質疑応答から生まれた“リアルな学び”
講義の終盤では、学生たちからの質問に山下が一つひとつ真摯に回答。「企画に一貫性を持たせるには?」「どうすればよいアイデアが浮かぶか?」といった問いに対し、
・「すべての表現は“コンセプト”という軸に従うべき」
・「アイデアは感性ではなく、情報の蓄積と現場での体験から生まれる」
という実践的なアドバイスが贈られました。学生たちの真剣な姿勢に呼応するように、講義はより深く実践的な内容へと展開していきました。
実践知に触れたことで広がった、ブランドとの向き合い方
今回の講義は、ブランディングにおける「熱量」「共感」「ストーリー」といった要素の重要性を、理論だけでなく、現場でどのように活かされているのかを肌で感じられる貴重な機会となりました。
ブランドが“人との関係性”として捉えられるという視点や、自分自身の感情からプロジェクトが動き出すという実感は、学生の皆さんのこれからの学びやキャリア形成においても、大きなヒントになったのではないでしょうか。
こうした実践知に触れることで、ブランドに向き合う姿勢やものの見方が広がる時間になったことを願ってやみません。
学生の皆さんにとって、本講義が今後の学びの一助となる価値ある時間となっていれば幸いです。
未来のブランド人材との接点を、これからも。
YRK&では、次世代のブランド人材との接点づくりも重要な取り組みと捉えています。
今回のような大学での講義をはじめ、今後も産学連携や教育現場との協働を通じて、“ブランドの力で社会を変える”という想いを、未来を担う若い世代に伝えていく活動を続けてまいります。