R&D
今回は、株式会社日経リサーチ 「ブランド戦略サーベイ(2016年、2018年)」を基に、ブランド力上昇値から見た、今勢いのある業界をご紹介します。
100位以内に入る業界別企業数
業界 | 企業数 | 平均総合PQポイント値 |
---|---|---|
医薬・食品 | 42社 | 10.5 |
電機・精密 | 25社 | -4.82 |
自動車・機械 | 3社 | -11.3 |
※上記は、日経リサーチ「ブランド戦略サーベイ(2016年、2018年)」を基に、YRK&が独自で編集/加工したランキングです。
※PQ … 企業ブランド知覚指数(PQ= Perception Quotient)
【平均PQ総合ポイント値の算出方法について】
株式会社日経リサーチ 「ブランド戦略サーベイ(2016年、2018年)」の上位100社を対象に、YRK andで独自に業界の振り分けを行い、該当する業界のPQ総合ポイント値の増減の和を該当する業界の企業数で割り算出したデータです。
※ここで表記している「ブランド力」とは、PQ(=企業ブランド知覚指数)に基づいた総合評価です。
※このブランドランキングは、企業やブランドの価値を表すものではありません。
企業ブランド知覚指数ランキング(以後PQランキング)の100位以内に企業が1番多数ランクインしている業界は、医薬・食品業界です。PQ総合ポイントも平均で10.5ポイント上昇しており、ほかの業界を抑え、それぞれの企業の評価が高い傾向にあることがわかります。中でも特に注目すべきは、すべての企業がPQ総合ポイントを上昇させることに成功している化粧品・トイレタリー業界です。
ブランド名 |
ポイント 上昇率 |
2018年 PQ総合 |
2016年 PQ総合 |
|
---|---|---|---|---|
23 | 花王 | 9 | 678 | 669 |
26 | ライオン | 11 | 667 | 656 |
61 | アース製薬 | 16 | 630 | 614 |
73 | 大日本除虫菊(KINCHO) | 9 | 620 | 611 |
77 | プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G) | 17 | 618 | 601 |
86 | サンスター | 5 | 614 | 609 |
98 | エステー | 13 | 605 | 592 |
抽出条件:日経リサーチ ブランド戦略サーベイ対象企業のうち、YRK&が独自に化粧品・トイレタリー企業を抽出。2018年のPQ順位が高い順に並び替え。
ランクインする多くの企業は以前からマーケティング力に優れていると定評のある会社が多く、近年、緻密に計算された消費者ニーズの深掘りによって、独自の付加価値を実現した商品の発売や、異業種への進出等、活発な競争を繰り広げています。
花王
全業界で見たPQランキングで23位にランクインする花王は、洗剤から食品まで生活者に様々なイノベーションをもたらしてきました。代表的な商品は、フローリング床が爆発的に普及した際に発売し、今や掃除の代名詞となった「クイックルワイパー」です。近年では、洗濯洗剤市場1位をキープし続けている「アタック」シリーズをリブランディングするなど、消費者のライフスタイルの変化に合わせた新商品を生み出し続けています。
ライオン
花王に続き、PQランキングで26位のライオンも、近年消費者のライフスタイルの変化に合わせた新商品を生み出しています。共働き家庭増加から時短家事に着目した、浴槽掃除が簡単にできる「ルックプラス バスタブクレンジング」や、雨や寒い日の部屋干しでも洗濯ものが早く乾く「トップ ハレタ」など、新発想の商品が数多く発売され人気を博しています。
P&G
PQポイント上昇値が17と、化粧品・トイレタリー業界で1位のP&Gも同様に、計量の手間が省ける新しい形の洗濯洗剤「アリエール ジェルボール」といった、消費者視点の革新的な商品を生み出し続けています。同時に、「SKⅡ」や「パンテーン」といった長く愛され続ける商品の新しいマーケットへのアプローチも、積極的に行っています。
業界全体のPQ上昇値が高い化粧品・トイレタリー業界で戦う企業の共通点は、“データを単純に読み取るだけではなく、潜在している消費者のニーズ、いわゆるインサイトを掘り起こす能力にたけていること”です。業界を席巻する多くの企業は、技術力を独りよがりに押し付けるような商品開発を行っていません。定期的に消費者との接触機会を設け、俯瞰から消費者の動向を見ることで、時代の流れに沿ったライフスタイルの変化を常にいち早く察知し、商品開発に生かしています。だからこそ、イノベーティブなアイデアで生み出された商品やプロモーションを世の中に発信することができ、私たち消費者をいつも驚かせてくれるのです。発想の先をゆく革新的な付加価値を生み出すヒントを見つけられるかどうかは、消費者の潜在的ニーズを読み取れる能力にかかっています。そのためにも、俯瞰から消費者を見る視点を定期的に持ち続けることが、これからの時代を生き抜くためには重要なのかもしれません。